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  1. HEIM MAISON
  2. 賃貸経営Q&A
  3. 利回りの考え方

お金のこと

賃貸住宅経営における
適切な利回りとは?

「賃貸住宅経営は投資」だと
心得ましょう

 賃貸住宅経営はお金をかけて建物を建てるわけですから、「投資を行う」という側面があることは間違いありません。そういった意味では「株式の購入」「国債の購入」などと同じと言えます。

 投資はリターン(収益)を得ることを目的に行うものです。リターンをどれくらい期待するのかは、人によって異なります(=リスク選好)。日本国債のようにリスクがほとんどない(とされている)投資の場合はローリスクローリターンの投資です。逆にブレ幅の大きな銘柄の株式への投資などは、ハイリスクハイリターンの投資と言えます。当然のことながら、リスクとリターンは比例するということです。

 賃貸住宅経営を投資としてみると、これらの中間にあたるミドルリスク・ミドルリターンの投資と言われてきました。しかし、昨今の賃貸住宅経営では、過疎地や、よほど立地の良くない場所でない限り賃貸住宅需要が少なくなるとは考えられておらず、ミドルリスクがあるとは言いがたい状況になっているようです。地域・エリア・立地によって異なりますが、いまではかなり安全志向の強い方が行う投資になってきました。

 ただ、冒頭に述べたように「賃貸住宅経営は投資」ですので、これから賃貸住宅経営を始めようとお考えの方は「最低限の投資に関する知識」を知っておくと良いでしょう。

キャッシュフローを
計算する方法

 キャッシュフローとは「お金の流れ」のことですが、そこで最も気になるのは「どのくらいのお金が残るか」、つまり手残り金額でしょう。

 「手残りキャッシュフロー」は、①収入-②支出=③NOI ③からローン返済を引いたものです。以下詳しく説明します。

  • 賃貸住宅経営における収入

  •  ●

    毎月入ってくるもの

 家賃、共益費、駐車場・駐輪場などの賃料 (空室、未回収を除く)

  •  ●

    それ以外

 敷金礼金などのうち、返還しなくてよい費用 など

  • 賃貸住宅経営における支出

 管理会社への管理代行費、維持管理費、修繕関連費 など

  • 純営業利益(NOI)

 ①-②が手元に残るお金となり、これを純営業利益NET OPERATE INCOME(NOI)といいます。賃貸経営をする以上、利回りの目標目安があるかと思いますが、その際に使う指標となります。

 くりかえしになりますが、手残りキャッシュフローはこのNOIからローン返済を引いたものです。

利回りを計算する方法

 次に、利回り(投資元本に対する収益の割合)に関する指標についてです。

 不動産投資の専門家のあいだではあまり使われませんが、一番シンプルな利回りの指標は、入ってくるお金を投資したお金で割る計算方法で、「表面利回り」と呼ばれます。

表面利回り=収入(年間)÷(物件関連費+諸経費など)

 よく使われる利回りの指標は、収入から経費を引いたNOIを投資金額で割る計算方法で、「NOI利回り」と呼ばれます。

NOI利回り=NOI÷(物件関連費+諸経費など)

 他にもいくつか利回りの計算方法がありますが、まずはこの2つを覚えておけば良いでしょう。NOI利回りを指標とみなす場合には、物件関連費や諸経費をどこまで含めるか、をしっかり見ておく必要があるので注意してください。

賃貸住宅経営の
適切な利回りは?

 利回りは、「投資するかどうか」の判断基準として使われます。「何%くらいの利回りが適切か」ということが言われますが、これに対する回答は、「状況により全く異なる」が正解です。

 まず、土地活用として賃貸住宅経営を始める場合は土地購入をしませんので、(たいていの場合)土地価格はゼロ円で計算します。そのため、「土地を購入して、そこに賃貸住宅を建てる」という場合に比べて利回りが高くなる可能性が濃厚です。

 また、立地により、同じような広さ・設備の部屋でも賃料が異なりますから、利回りも変わってきます。また、建築工法や建物グレード、その他室内仕様などによっても賃料が異なりますので、ここでも利回りが変わってくる可能性があります。さらに、不動産の市況により異なってきます。このように、「適切な利回り」というものはありません。

賃貸住宅経営の
利回りの調べかた

 そのため「指標となる適切な利回り」を知りたい場合、ハウスメーカーの担当者から、建てようとしている地域における、同グレードの賃貸住宅における平均的な利回りを聞けば良いでしょう。

 しかしこれから賃貸経営を始めようという方にとって、いきなりハウスメーカーに電話やメールをして利回りの質問をするのはハードルが高いと思います。

 そこでおすすめしたいのが、ひとまずハウスメーカーにカタログその他資料請求を行うことです。その際に「概要地域の平均的な利回りを教えて欲しい」と一言添えておけば、丁寧な回答が返ってくるでしょう。

監修:

(社)住宅・不動産総合研究所 理事長

吉崎 誠二(不動産エコノミスト)

早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。立教大学博士前期課程修了。 (株)船井総合研究所上席コンサルタント、Real Estate ビジネスチーム責任者、基礎研究チーム責任者などを経て、現職。不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルテーションなどを行うかたわら、全国新聞社、地方新聞社をはじめ主要メディアでの招聘講演は毎年年間30本を超える。

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