賃貸経営の不安
空室リスクに対処する方法は
ありますか?
空室期間は
できる限り短くしたい
賃貸住宅経営において空室は一番気になることです。空室が続けば賃料も下がる可能性が高まります。そのために、周辺地域の賃貸住宅需要や適正賃料を把握して賢く経営を行いたいものです。しかし、空室が実質的にゼロになることはありません。どんなに人気のある賃貸物件でも、入居者の入れ替わりがあるため、最低でも1か月弱程度は入退去に伴う空室期間が出ます。こうした仕方のない期間を除いて、できる限り空室期間を短くしたいものです。
ではどうすれば、空室が少なくなるのでしょうか?3つの視点で考えてみます。
入居者のニーズに合った
物件にすることがポイント
空室リスク対策のためには、何よりも重要なことは空室の出にくい賃貸住宅を建築する(購入する)ことです。
空室の出にくい賃貸住宅を建築する(購入する)ポイントを挙げてみます。
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1)
入居者のニーズに応えた物件であること
具体的には
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外観の見栄えがスマートで時代に合っていること
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収納スペースが多いこと、あるいは工夫された収納スペースが確保されていること
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水まわり設備のグレードが高いこと
などが挙げられます。
これらの背景には、入居者が物件を選びはじめる際には、基本的には「PCやスマホで検索する」ということがあります。そのため、サイト上で見栄えがする物件(外観・水まわりなど)であることが求められるわけです。
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2)
周辺環境に応じた間取りであること
間取りは周辺環境(賃貸住宅需要)に応じたものでなければいけません。大学や専門学校の近くではワンルームタイプ、住宅地ではファミリータイプといったことです。
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3)
賃料が適切であること
賃料設定を高くすると収益シミュレーションは良くなりますが、周辺賃料よりもかなり高くすると入居者客付けが難航し空室確率が上がることもあります。特に、新築時はあまり無理をしない賃料設定で、スタートする方が良いようです。管理会社などから適切な賃料の提示を受け、その前提で賃料設定を行うと良いでしょう。
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4)
その他
賃貸住宅の入居者探しは、管理会社を通じて入居者あっせん不動産会社(客付け会社)が入居者募集を行うのが一般的です。古典的な手法ですが空室が続くようならば、このあっせん会社に、「頑張ってもらうよう」に、はっぱをかけることも空室期間短縮につながります。
空室期間を見込んだ
収支設計をしておけば安心です
賃貸需要が旺盛で人気の物件でも、入居者の入れ替わりがありますし、空室が完全にゼロになることはないでしょう。そのため、常に満室での想定ではなく、空室を予測した上で収益シミュレーションを組んでおくことが求められます。
例えば、「10部屋ある賃貸住宅の場合、1年間に1部屋が2か月という割合で空室が出る」と仮定して収益シミュレーションしておきます。
もちろん、管理会社との間で、サブリース契約を結んでいる場合は、契約期間の間は、サブリース契約での賃料が入ってきます※ので、実際はこうした空室想定はしなくても良いわけですが、収益シミュレーション上では、こうしたサブリース契約がない前提で想定しておくことをおすすめします。
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※
サブリース契約での賃料は定期的な見直しがあり、減額となる可能性があります。
本サイトをご覧の方は、賃貸住宅経営に興味をもたれている方が多いと思います。興味をもたれている方は、ハウスメーカーなどが作成しているカタログや事例集、ガイドブックなどを取集して、「実際にどんな賃貸住宅が建築されており、どんな運営サービスが行われているか」といった情報を集めると良いでしょう。
監修:
(社)住宅・不動産総合研究所 理事長
吉崎 誠二(不動産エコノミスト)
早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。立教大学博士前期課程修了。 (株)船井総合研究所上席コンサルタント、Real Estate ビジネスチーム責任者、基礎研究チーム責任者などを経て、現職。不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルテーションなどを行うかたわら、全国新聞社、地方新聞社をはじめ主要メディアでの招聘講演は毎年年間30本を超える。