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積水化学工業株式会社 住宅カンパニー(プレジデント:関口俊一)では、このほど太陽光発電システム(以下、PV)搭載住宅と電気自動車(以下、EV)の間で電力融通を可能にするVtoH(Vehicle to Home)搭載住宅の実邸における利用実態調査を実施しました。
PVとコンサルティング型ホームエネルギーマネジメントシステム(以下、HEMS)を搭載した当社のお客様で、VtoHを搭載している64件の実邸を対象に実績を調査しました。EVは、家庭用蓄電池と比べ大容量の蓄電池を搭載していることから、住宅と組み合わせることで経済性はもちろん、災害時の安心安全を確保できるなどのメリットが期待されます。一方で、将来的に再生可能エネルギーの固定価格買取制度(以下、FIT)によるPV電力の買取終了が見込まれています。このような状況を踏まえ、当社がこれまでに供給してきたVtoH搭載住宅の利用実態などを調べ、今後の自給自足型住宅のあり方を探りました。
EVを一般家庭の自家用車として採用した場合、走行による電力利用量は少なく、EVの大容量蓄電池が十分に活用されているとは言えない状況です。VtoH導入により住宅とEVの双方向の電力融通ができ、走行だけでは使い切れなかった電力を住宅で利用することが可能になりました。これにより、経済価値、安心価値を高めることができます。FIT買取期間終了後に余剰電力活用策としてEVを利用する場合でも、同様に双方向の電力融通が有効な対策になります。
PVから充電する場合において、悪天候でPVが発電しないときやEVが昼間走行に使用されシステムに接続ができないときには充電の機会損失が発生します。今後、住宅とEVの連系をさらに強化することで電力の自給自足率を更に高めた安心、安全、快適な暮らしを実現できると考えます。
・経済モード
電力単価の安い深夜に充電して、電力単価の高い朝夜に放電することで経済メリットが出る。現時点でほとんど全てのユーザーが利用している。
・グリーンモード
PVの余剰電力を充電し、夜間に自宅放電することで電力自給率を高めることができる。PVのFIT買い取り終了後には余剰電力活用策として多数のユーザーの利用が想定される。/p>
当社では、PV搭載を「第一世代」、PVと蓄電池の搭載を「第二世代」、PVとVtoHの搭載を「第三世代」と捉え、対応するスマートハウスの普及に努めて参りました。将来的にFITによるPV余剰電力の買取が終了することから、今後さらに、高いエネルギー自給自足率を実現する大容量PV、VtoH、家庭用蓄電池が社会や消費者に求められると考えています。
一方、当社が 3 月 8 日に発表した「太陽光発電システム搭載邸のエネルギーゼロ達成度及び蓄電池搭載邸の運転実績調査」の中で、蓄電池を搭載のうえグリーンモードで運転することで、「蓄電池が未搭載である場合の自給率 22%を最大約 60%にまで引き上げる」効果があることを確認しました。今回は「第三世代」のVtoHの利用実態を調査したものです。
調査目的 | : PV搭載住宅のVtoH利用の実態把握 |
調査対象 | : セキスイハイムのHEMS、PV、VtoH搭載邸に対して、EVの活用、充放電の実態などを調査 |
調査地域 | : 全国(有効母数 47 邸、64 データ) |
評価方法 | : HEMSデータでVtoHの充放電量の関係を以下のように定義することで、EV走行による電力利用量を推定して分析を行った。 |
調査邸のEV車種区分 | : 1日の最大充放電量から推定して当社が下表のとおり 3 区分した |
1.「経済モード」運転時のEVの蓄電池の電量利用量は、走行による利用に比べ、自宅での利用が約 2.3 倍となっている
VtoHにより、EVは昼間の走行により消費しきれなかった蓄電電力を夜間に自宅へ放電できます。今回の調査で、EVの走行による電力利用量は住宅の電力利用量に比較して少なく、またEVが走行しない日が 3~4 割もあることがわかりました。自宅へ放電できる機能を持つVtoHの導入によって、EVの大容量蓄電池をより有効に活用することができます。
2.「経済モード」運転時のEVの蓄電池の蓄電残量は、非常時・停電時のバックアップ電源(安心価値)として活用できる
年間平均では、EV搭載の蓄電池容量の 40~60%が蓄電残量となっていますが、VtoHによりこれを非常時・停電時のバックアップ電源(安心価値)として活用できます。EVが搭載する大容量の蓄電池の能力を 100%活用できることがVtoHのメリットと言えます。
3. 「グリーンモード」運転でも、EVの蓄電池は、走行による電力利用量の約 1.7 倍の電力量を自宅で利用でき、PV余剰電力の有効活用ができる
PVから充電を行う「グリーンモード」運転でも、EVの走行による電力利用量の約 1.7倍の電力量を自宅で利用できる試算結果となりました。FIT期間終了後のPV余剰電力の活用策としてEVへの期待が高まる中、EV単体の導入だけでなくVtoHとあわせて導入することがより有効であることが確認できました。
4. 「グリーンモード」運転時のEVの蓄電池稼働率を向上させるには、昼間の充電機会ロスへの対策が必要になる
「グリーンモード」運転では、悪天候でPVの発電量が不足する、EVが昼間不在でPVから充電できないという要因で、年間平均するとEVの約 15~35%に充電機会損失が発生することが予測されます。また蓄電容量が大容量になるほど、機会損失も大きくなる傾向があります。今後、住宅とEVの連系をさらに強化することで電力の自給自足率を更に高めた安心、安全、快適な暮らしを実現できると考えます。
5. 「グリーンモード」運転時では、電力自給率は平均では 48%に、最大では 84%まで高めることができる
VtoHの「グリーンモード」運転では、昼間にPVから充電した電力をEV走行にも利用するため、電力自給率がその分低く算出され、今回の調査の平均的なモデルでの電力自給率は 48%となっています。ただし、EVが走行しないと仮定した理想的なケースで試算した場合、電力自給率は 84%となっており、VtoH導入によりEVが大型蓄電池として機能し、電力自給率を大きく改善できることが予測されました。