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セキスイハイム次世代CADシステム『新SCOPE』の開発、導入について

  • 当社独自の設計システム「SCOPE」と最新CADシステムの相乗効果をねらう
  • 「働き方改革の推進」と「お客様満足度向上」を両立するシステムの構築へ

2018年10月25日
積水化学工業株式会社

積水化学工業株式会社 住宅カンパニー(プレジデント:関口俊一)は、2021年度の導入を目指し、次世代CADシステム『新SCOPE』の開発に着手します。この導入により、主に①営業・設計業務の効率化と負荷軽減(働き方改革への対応)、②お客様へのサービスの質向上、③用途拡大(他の社内システムと連動)、④設計業務の精度向上、の4つの効果を期待しています。なお、『新SCOPE』の開発に対し、5か年で約70億円の投資を行います。

次世代CADシステム『新SCOPE』の概要

1.新システムについて

『新SCOPE』は、邸データ(建物と敷地の情報)をクラウドサーバーにより一元管理するシステムです。導入当初は新築部門の営業・設計業務において活用し、将来的には生産・施工、アフターサービス、リフォーム部門とも邸データを共有・活用することで、さらなる業務の効率化を図ります。

2.開発の概要

当社は、1988年に当社固有のユニット工法に対応した、独自のプラン設計システム「SCOPE※」を開発。新築部門の基幹システムとして、これまで各種機能の強化・拡張を図り、先進性の高い工業化住宅の建築を可能としてきました。

この度、同システムに蓄積されたユニット工法の設計ルールを最大限に活用しつつ、最新のCADシステムやデジタル技術との相乗効果を図るシステム開発に着手することを決定。お客様へのプランのプレゼンの高度化や、敷地条件と建物を一体とした設計の効率化と精度向上等を可能にします。将来的には、アフターサービス、リフォームを含めた住まいのトータルをカバーする設計システムを目指します。

3.対象

1)営業・設計業務の効率化と負荷軽減(働き方改革への対応)

2)お客様への提出資料の質向上

3)用途拡大(他の社内システムと連動)

4)設計業務の精度向上

5)将来的にプラン提案機能を自動化

4.開発予算

本年度から2022年度までの5か年で約70億円を見込んでいます。

5.スケジュール

2020年3月までに設計、プログラム実装を完了。その後のテストを経て、2021年8月にセキスイハイム(鉄骨系商品)版をリリースし、2022年9月までに全システムを本格運用する計画です。

※Sekisui Cad system of Planning and Estimation。プランの作図、プランニングルール(当社の設計ルール)のチェック、性能(構造・温熱環境)チェック、積算、工場への生産指示等、建物設計に特化した機能を持つ設計システム。

次世代CADシステム開発・導入の背景

当社では、お客様の多様なニーズに応えるため、継続的に住宅商品の種類増大や設計自由度の向上に努めてきました。同時に、部材の標準化により情報システムに適したユニット住宅の特徴を活かし、住宅生産プロセスを中心に、住宅設計、部品展開、生産、出荷、施工、アフターサービスまでの一連の流れを一体で管理する独自のコンピュータシステムを構築してきました。代表的なものに、プランの作図、プランニングルール(当社の設計ルール)のチェック、積算、工場への生産指示に対応する住宅設計用情報システム「SCOPE」や、生産指示以降の工場での部品展開、発注、生産・原価管理に関するシステム「HAPPS(Heim Automated Parts Pickup System)」があります。

一方、環境、安心、快適性等における住宅の高機能化、高付加価値化に加え、法規関連等の手続きの複雑化によって、1つの邸の引き渡しまでにかかる作業・工数が増大し、営業・設計担当者の負担が増加しています。当社では経営基盤の強靭化を目指し、「働き方改革」を掲げ、従業員の総労働時間の削減に取り組んでいますが、従業員の負荷を軽減しつつ、増加している若手社員を早期に育成することも大きな課題となっています。さらには、お客様の住宅に対するニーズも多様化し、かつ、提案レベルや対応スピードの向上がますます求められています。

当社は、これら様々な課題をチャンスと捉え、若手社員を早期に育成し、従業員が働きやすい環境を整えるとともに、お客様の満足度向上、業務効率アップを目指すキーシステムとして、次世代CADシステム『新SCOPE』の開発・導入を進める考えです。

次世代CADシステム導入により期待される効果について

1.営業・設計業務の効率化と負荷軽減(働き方改革への対応)

『新SCOPE』の導入により、お客様の建物・敷地情報を一元化し、システムの利用環境を整備するとともに、プレゼン機能の操作性向上、敷地への建物配置などの設計品質の向上、過去の推奨プランデータの活用、営業・設計・工場間の業務連携の質向上、在宅・サテライトオフィスワークの推進などが期待できます。一方でお客様情報のセキュリティに対してもより一層の強化を図ります。

これにより、営業担当では年平均残業時間の 26%相当、設計担当では年平均残業時間の17%相当を削減できると試算しています。

また、敷地情報が入力できることにより、『新SCOPE』の操作だけで公的な各申請業務向けの図面の作成が可能になります。今後の電子申請には有効であると判断しています。

2.お客様への提出資料の質向上

現行の「SCOPE」でお客様に提出できる資料は、建物平面図、立面図、内観図、見積書(積算機能活用)及びイメージパースに限定されていますが、機能拡張で建物配置図や敷地形状を反映した実測型のパースが加わります。これにより、全作図の表現レベル、プレゼン資料の質的向上、ひいてはお客様満足度の向上を図ります。

3.用途拡大

生産部門に加え、施工や完成後のアフターサービス、その後のリフォームにいたるまでトータルの費用管理に関しても、社内の他のシステムと連動した独自の情報システムを構築していきます。

4.設計業務の精度向上

現行の「SCOPE」では、構造上問題のあるプランなど、プランニングルールで禁止されているプランは、自動的に排除されるシステムになっています。『新SCOPE』に敷地情報が入力できることにより、建物の配置などの確認が可能となり、プランニングルール違反だけでなく、建築法規上等の問題があるものも自動的にチェックできることになり、設計ミスの発生が抑えられます。

5.将来的にプラン提案機能を自動化

『新SCOPE』において蓄積した建物および敷地情報と、居住者の使用状況に関する情報や意見・不満を相関させることにより、最適な設計モデルが抽出できます。将来的にはAIによる自動設計を実現したいと考えています。



現在、積水化学グループでは、「働き方改革」に対する投資を進めており、この度の『新SCOPE』への開発投資はその一環と位置づけています。なお、2018年からの2年間で、グループ全体で100億円を投資する計画としています。

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