• 住宅・住まいウェブ
  • 提携住宅ローンのご紹介
  • 優良ストック住宅 スムストック
  • 住宅産業協議会
  • 環境共生住宅推進協議会
  • プレハブ建築協会

プレスリリース

プレスリリース一覧へ戻る

「バブル後世代(若年層)」の住行動特性調査について

2011年1月19日
株式会社住環境研究所

積水化学工業株式会社(プレジデント:高下貞二)の調査研究機関である株式会社住環境研究所(所長:倉片恒治、千代田区神田須田町1-1)は、今後の住宅建設の中心となる「バブル後世代(27~31歳、2010年調査時)」の住行動を探るため、このほどアンケート調査を実施しました。

住宅建設の主役は時代とともに変わってきました。一昔前の主役は40~50歳代でしたが、バブル崩壊後は構造改革や終身雇用制の崩壊、年金不安の高まりもあって、中高年層は住宅投資に慎重になる一方、団塊ジュニア世代が住宅建設の中心となってきました。そしてポスト団塊ジュニア世代として今、注目されているのがバブル後世代といわれている世代です。いわゆるバブル崩壊後の景気回復の兆しがみえない時代に育った世代(1979~1983年生まれ)です。消費嫌い、節約世代といわれるバブル後世代の、①持家、戸建てに対する意識、②建築・購入のきっかけ、③業者選定行動、④親からの資金援助など住行動特性を探ったのが今回の調査です。

バブル後世代の住行動特性を探るため、団塊ジュニア世代(32~39歳)、新人類世代(40~49歳)、断層世代(50~59歳)、団塊世代(60~64歳)と比較することで、バブル後世代の住行動の特性を浮き彫りすることを試みました。

■バブル後世代の特性

1.団塊ジュニア世代より強い持家に対する意欲

バブル後世代の持家、戸建てに対する意欲「絶対に持家を取得したい」は46%で、団塊ジュニア世代より3ポイント、新人類世代より7ポイント高くなっています。持ち家志向理由で高いのは、「ローン終了後の住居費負担が少ない」。戸建て志向理由では、「上下階の世帯に対する気遣いのない生活」と実質的な面を優先。一方「外観や間取りが自由」「ペット・ガーデニング」「部屋数や居室の広さなど」といった戸建への夢や憧れを表す項目は、ポイントが低いことが特徴です。

2.判断は現実的、検討の幅は広げない

建築・購入のきっかけは「今が買い時」が最大理由ですが、バブル後世代は実に61%が買い時と考えて行動しています。また展示場の見学数もバブル後世代は平均4.7社、他の世代より少なく、業者選びは検討の幅を広げず、マイホームを取得しています。

3. 35%が資金援助あり、平均908万円

バブル後世代は、マイホーム取得の際に35%が親の資金援助を受けており、その平均金額は908万円。団塊ジュニア世代より約180万円多くなっています。また、資金援助の有無を問わず全体の46%が「親の意見を取り入れた」と、親の影響が大きいことがわかりました。

■調査概要

調査目的:バブル後世代を中心とした若年層の住行動特性の把握
調査対象:2007年以降に戸建住宅を建築購入した1673世帯。バブル後世代の住宅取得の形態は新築70%、建替え19%、建売住宅11%。エリアは全国、契約先は大手56%、ビルダー25%、工務店19%。尚、他の世代も概ね上記と同様の構成比となっている。(図表略)
調査方法:インターネット調査
調査時期:2010年9月

■調査結果の概要

1.団塊ジュニア世代より強い持家に対する意欲

(1)住宅取得意欲(取得前の考え)

バブル後世代の持家取得意欲を見ると、「絶対に持家を取得したい」は46%で、団塊ジュニア世代43%や新人類世代39%より、住宅取得意欲は強いといえます。

※取得した“時代”を揃える意味で「5年以内」に初めて取得した層に絞って

(2)持家志向の理由

持家志向の理由は、各世代共通して「自分の資産になる」「マイホームを手にする満足感」「老後の住まいに不安がなくなる」が3大理由です。バブル後世代が他の世代より高いのは「ローン終了後の住居費負担が少ない」36%。新人類世代に比較すると倍近い数値となっています。逆に少ないのが「マイホームを手にする満足感」。団塊ジュニア世代に比べると6ポイント低くなっています。

(3)戸建て志向の理由

戸建て志向の理由としては、「外観や間取りなど自分達の思い通りにつくれそう」「上下階の世帯に対する気遣いのない生活をしたい」が2大理由です。バブル後世代で特徴的なのは「部屋数や居室の広さなど広々住みたい」が団塊世代40%に対し、バブル後世代は19%。「外観や間取りを思い通りにつくれそう」は団塊世代61%に対し、バブル後世代は50%、「ガーデニングをしたりペットを飼ったりしたい」については団塊世代37%に対し、バブル後世代は24%と低くなっています。逆に「上下階の世帯に対する気遣いのない生活がしたい」は団塊世代23%に対し、バブル後世代は49%となっており、実質的な理由から戸建住宅を志向する傾向がみられます。

2.判断は現実的、検討の幅は広げない

(1)展示場見学

バブル後世代の展示場見学数は、「1~3社」が41%、「4~5社」33%、「6~10社」22%、平均4.7社で、他の世代より少ないのが特色です(団塊世代23%、団塊ジュニアの33%)。展示場に行く前にインターネットなどの情報で検討してから展示場に出向いていると考えられます。

(2)初めて展示場を見学した時期

若年世代ほど早い時期に展示場に出向いており、バブル後世代は「住宅を検討以前」「漠然期」での見学が78%もあり、この時期に蓄積された情報が検討開始後の業者絞込みに少なからず影響しているものと思われます。

(3)業者選定理由

バブル後世代の業者選定理由をみると、「価格」が最も高くなっていますが、「住み心地・居住性能」「施工の品質」は他の世代に比べて低くなっています。一方、「営業担当者の対応」や「親戚や知人の紹介」などが高く、プロや経験者の意見を聞く素直な世代といえます。

(4)建築・購入のきっかけ

建築・購入のきっかけの第1位は「今が買い時と思った(建築費の下落、低金利など)」。若年層ほどそう思っており、バブル後世代で61%、団塊ジュニア世代57%、新人類世代48%、断層世代42%。

3.35%が資金援助あり、平均908万円

(1)親の資金援助と親の意見の大きさ

住宅取得に際して「親の資金援助有り」は、バブル後世代35%、団塊ジュニア世代41%、新人類世代32%、断層世代20%、団塊世代11%。若年層の3~4割は親からの資金援助を受けています。(親のいる層のみに設問) 資金援助の比率が大きいバブル後世代、団塊ジュニア世代は親の資金援助を受けた割合以上に、住宅取得に際し親の意見が反映されています。「親の意見をかなり尊重し取り入れた」「親の意見をある程度取り入れた」を合わせると、バブル後世代は46%と半数近くになります(団塊ジュニア世代38%)。

(2)援助金額

援助資金は若年層ほど多く、バブル後世代で平均310万円。これは資金援助なしの人を含んだ平均値で、資金援助のあった人に限定すると、バブル後世代908万円、団塊ジュニア世代730万円、新人類世代879万円、1,000万円近くの援助を受けて住宅を取得しています。

■参考資料

バブル後世代は、現実的な思考のもと持ち家取得を決断

住宅建設の主役は今、団塊ジュニア世代からバブル後世代へスイッチの時を迎えようとしています。バブル後世代は1979年~1983年生まれの現在 27~31歳(2010年調査時)の世代で、よくいわれているのが、消費嫌いで車や海外旅行嫌い。そのバブル後世代がいよいよ30代に突入、住宅需要のボリュームゾーンに入ってきて、住宅取得をどう考え、どう行動するのかを探ったのが今回の調査です。

注目したいのは、まず持ち家取得意欲の高さです。持ち家取得済み層においては「絶対に持ち家を取得したい」と考えていたのは46%、団塊ジュニア世代、新人類世代より高いのです。

2つ目の注目点は建築・購入のきっかけで、各世代とも1位は、「今が買い時と思った」です。贈与税の非課税枠拡大や住宅ローン減税などの施策、地価の下落をマイホーム取得の絶好のチャンスと捉えて積極的に行動しているといえますが、バブル後世代がそう思っている比率が最も高く61%、団塊ジュニア世代、新人類世代を大きく上回っています。また、持ち家を志向した理由としては「ローン終了後の住居費負担が少ない」が36%と団塊ジュニア世代、新人類世代を大きく上回る結果でした。

戸建て志向の理由も興味深いものがあります。①「外観や間取りなど自分たちの思い通りにつくれそう」、②「上下階の世帯に対する気遣いのない生活をしたい」が戸建てを選択した2大理由ですが、世代によって格差があるのが興味深いところです。①ではバブル後世代は50%で全世代中最も低く、②ではバブル後世代は49%で2位でした。

以上から推察できるのは、バブル後世代は現実的な思考から「ローン終了後の住居費負担」を考え、「ローン減税などの税制や金融施策」が追い風となって取得を決意。また、子育てを契機に「上下階の世帯に気遣いのない生活」という実質的な理由で、戸建住宅購入を選択。持ち家や戸建て住宅への夢や憧れではなく、現実的に思考し、決断する姿が浮かび上がってくるのです。

しかし、業者選定時の重視点として、「価格」が38%と最も高く、「施工の品質」や「住み心地・住性能」など基本性能に関わるものに関しては低いという結果をみると、家づくりに対する姿勢に少し不安を感じます。長く快適に暮らし続けるには、基本性能の高さをベースにメンテナンスやリフォームなどが必要となります。今後、住宅供給側には高い基本性能やコストパフォーマンスの追求はいうまでもなく、長く安心して快適に暮らせる住まいづくりの要件や入居後の維持管理に関する情報を継続的に発信していく必要がありそうです。

住環境研究所
所長 倉片恒治

このページの先頭へ