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積水化学工業株式会社住宅カンパニー(プレジデント:高下貞二)の調査研究機関である株式会社住環境研究所(所長:倉片恒治 千代田区神田須田町1-1)は、このほど親の介護における「近居介護※の実態調査」をまとめました。2010年から続く「介護と住まい調査」の第3弾となります。
前回の調査(2010年12月)で介護予定者の55%は同居せずに距離感を持った介護を望んでいることが浮き彫りになりました。中でも近距離介護を望む人が多かったことから一歩踏み込んだ形で「近居介護の実態調査」を行ったもので、首都圏の近居介護者20人に面談によるインタビュー調査も別途行いました。
※当研究所では、電車・車で30分以内に行ける距離での介護を近居介護と定義しています。
現在、近居で介護を実施している人のうち、介護をする以前から隣居・近居をしていた「もともと隣居・近居」は81%。介護のために親を「呼寄せ、自分達がいく」は14%。近居介護の実施者は、いざとなって呼寄せて近居する方は少数で、既に近居の状況にある方が中心。
近居を選択した理由は、「同居よりは気がねがない」59%、「親がまだ自立」49%、「すぐにいける距離」48%が上位となっており、気兼ねがないことが主な理由。
介護をする以前から隣居・近居をしていた「もともと隣居・近居」の方の近居開始年令は40~50才代が多く“住まいを取得する時”に近居を行った方達。
生活支援内容は「外出の付き添い」73%、「家事支援全般」68%「話し相手」66%、「役所や銀行など諸手続き」61%「食事の世話」60%が上位5項目。親の身体状況に関わらず、割合が高い項目は「食事の支援」。
調査目的:近居介護のきっかけ、親との距離、生活支援等の把握
調査対象:首都圏、近畿圏、中部圏の近居介護実施者300人
調査方法:インターネット調査(2011年2月調査)
首都圏の近居介護実施者20人へのインタビュー(2011年8月調査)
年齢:介護経験者50~54才39%、55~59才28%、60~64才24%、65~69才9%
居住形態:持家戸建て68%、持家マンション32%
介護をする以前から隣居・近居をしていた「もともと近居・隣居」は81%、介護のために「呼寄せ、自分達がいき隣居・近居」は14%。近居介護の実施者は、既に隣居・近居状況にある方がそのまま介護の状況になっており、呼寄せて隣居・近居を行った方は、少なくなっています。
近居を選択した理由について見ると、「同居よりは気がねがない」59%、「親がまだ自立」49%、「すぐにいける距離」48%が上位となっています。近居介護の選択理由は、気兼ねがないことが主な理由となっています。
近居タイプ別で見ると、呼寄せ隣居・近居では、「同居するには家が狭い」でもポイントが高く、呼寄せても同居するには、家が十分でないために近居となっていることが分かります。
近居介護実施者で、介護をする以前から隣居・近居をしていた「もともと隣居・近居」の方に、親と隣居・近居を始めた時の本人年令を聞いたところ、40才代からが32%、50才代からが50%と40~50才代で82%を占めています。
現在の年令別で見ると、50才代前半で40才代から、50才代後半では50才代から、60才代前半では50才代からが多く5~10年前ぐらいから、近居を開始している事がわかります。
インタビュー調査で、隣居・近居を開始したきっかけを伺いました。
住まいを取得する際に将来のことを考え、事前に近居を行っていることが解ります。
◎父の病気で母のサポートのため、40代のころに兄妹の中で動きやすい自分が両親の側に移住し住まいを建てた(59才・女性/持家戸建)
◎40代、持家を取得する時に、自分達世帯が親の介護をすると決意し、親の側のマンションをさがした(52才・女性/持家マンション)
親世帯が単独で生活できないことがきっかけとして上げられ、呼寄せた親の住まいも、近所の有料老人ホームや施設を選択していました。また、親世帯に何かがなければ、呼寄せは起こらず、呼寄せた後の住まいは、サービス付の住まいが必要とされているのではないかということが分かりました。
◎骨折により歩行が困難になった(母:86才)(53才・女性/持家戸建)
→呼寄せて、近所の老人保健施設に入所
◎認知症を発生し夫婦だけの生活が困難(母:82才)(55才・男性/持家戸建)
→呼寄せて、有料老人ホームに入所
◎仕事をやめた途端、気力が低下し1人暮らしが困難(母:85才)(59才・男性/持家戸建)
→呼寄せて、家から5分の処にあったサービス付高齢者住宅に入所
生活支援の内容は、「外出の付き添い」73%、「家事支援全般」68%「話し相手」66%、「役所や銀行など諸手続き」61%「食事の世話」60%が上位5項目となっています。
親の身体状況別で見ると、比較的元気な「なんとか1人でできる」時は、外出の付添い、話し相手などが多く、身体状況が低下する程、安否確認、家の維持管理、入浴やトイレ介助といった項目が多くなります。食事の世話は、「何とか1人で出来る~全面的に介護が必要」の方でも、支援している割合が高い項目となっています。
【一部介助が必要・・身の回りのことなどに、一部手助けが必要な状況】
【全面的に介護が必要・・身の回りのことなどに、全面的にお世話が必要な状況】
「食の支援」について、インタビュー調査で詳細をお聞きしたところ、「子世帯が給仕と後片付けを行なわないときちんと食べなくなる」「偏食によって栄養のバランスが崩れ、体調不良になる」「火の始末ができず危ないと思った」などが明らかになりました。また食の支援を行なっている方ほど、親元へ通う頻度が多くなり(週6~7日)、親との距離が近い人ほど(隣居~徒歩20分以内)、負担感が少ないことが分かりました。「食の支援」は、高齢者の体調に影響し、親が自宅で過ごすためにも非常に重要であるといえます。
親の平均年齢は84.5才。70才代は16%、80才代が68%を占める。
「全て自分できる」26%、「なんとか1人でできる」33%、「一部介助が必要」23%、「全面的に介護が必要」は18%。
親の現在の住まいでは「持家戸建」59%、「持家集合」11%、「賃貸住宅」12%、「介護付の有料老人ホーム」9%。
「隣居(完全分離の二世帯、同じマンションの別部屋など)22%、「徒歩15分圏内」が22%、「車で10分以内」22%、「電車・車で30分以内」29%。
前回の調査(2010年12月)では介護経験者の介護スタイルは「同居介護」が72%と圧倒的でしたが、介護予定者になると「同居介護」を考えている方は56%に減り、逆に距離感を持った介護が42%へと増え、特にそのうち7割近くが「近居介護」を望んでいることが浮き彫りになりました。同居介護の実態は、すでにある程度判明していますが、近居介護の実態はまだ不明な部分が多いのが実情です。
そこで今回の調査は、近居介護をすでに経験されている方、予定されている方に対して量的調査を実施し、そのうえで経験者の方に1人ずつインタビュー調査を実施し近居介護の実態に迫りました。今回の調査で明らかになった中で注目したい1点目は介護する以前から「もともと近居」していた方が81%もいたということです。「自宅の近くに親を呼び寄せる、あるいは親の近くに居を構えて介護する」は14%と少数です。
インタビューからも「もともと近居」の方は住宅取得時に将来を考え、余裕を持って準備されてきた様子が伺えます。「もともと近居以外」の方は介護が必要になった時に同居を考えたものの住まいが狭いことから、近居になったケースが多く、また親の住まいも有料老人ホームや施設を選択していることが伺えました。今後、親を呼寄せての介護予定のある方は、呼寄せのタイミング、親の住まい探しなどに不安があることもわかりました。親を呼寄せるにあたっては、何かがあってから、検討するのでなく、「早めの住替え」が必要といえるのではないでしょうか。
注目したい2点目は親の身体状態に係らず「食事の支援」の割合が高いことです。高齢者の身体能力を維持するための基本は食事、運動、排泄といわれますが、食事についても早い段階から支援が必要で、その内容は準備、片付けから食事を取ったかどうかの確認にまで至ります。食事は外部サービスを利用するにしても、支援頻度は高いので、住まいが近くないと難しいといえます。
以上2点から、近居介護を実現するには、食事の支援が容易に行える距離への「早めの住み替え」など、親の介護についての計画を事前に立てることが望ましいと言えます。
国はサービス付高齢者住宅を今後10年間に60万戸整備するという施策を打ち出しましたが、サービス付き高齢者住宅は近居介護を実現の受け皿として大変重要だと思います。今後は、サービス付き高齢者住宅に住むこと、また住まわせることに対する意識の変革が必要と思われます。一方、供給側も高齢者住宅に対する抵抗感が少なくなるようなサービスの構築が求められているといえるのではないでしょうか。