セキスイハイムの特長
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積水化学工業株式会社 住宅カンパニー(プレジデント:関口俊一)では、このほど太陽光発電システム(以下、PV)とホームエネルギーマネジメントシステム(以下、HEMS)搭載住宅のエネルギーゼロ達成度及び蓄電池の運転実績調査を実施しました。
今回は、2016 年にご入居済みセキスイハイムのうち、2,951邸の2017年1~12月の消費電力量・発電電力量・電力量収支について、設置されているコミュニケーション型HEMS「スマートハイム・ナビ」のデータを活用し分析。その結果、①家電込みエネルギーゼロ邸が42%、②ZEH相当邸が22%に達し、ZEH相当以上のエネルギーゼロ邸が64%(①、②の合計)となっていました。また、再生可能エネルギーの固定価格買取制度(以下、FIT)の買い取り期間の終了後を見据え、定置型リチウムイオン蓄電池「e‐Pocket(イー・ポケット)」の搭載邸829邸における蓄電池の放電量の実績把握と、将来の電力の自給自足を想定した運転の効果を試算検証しました。これにより、蓄電池の容量バリエーションとユーザーの運転設定で、放電量が大きく変動することが確認でき、またユーザーの特性に合わせた最適活用提案をよりレベルアップすべきという方向性も確認されました。
※1 光熱費ゼロ:PV余剰電力の売電収入が電力会社への支払い金額(買電)を超えるもの
※2 経済モード(経済優先モード:深夜電力を充電し朝晩に放電)
グリーンモード(自立優先モード:PVから充電し、夜から朝に放電)
当社では国のエネルギー基本計画の中でZEH普及に関する方針が明記された2010年より、実邸のエネルギー収支を調査し、結果から見えてくる課題を解決することがZEHの拡大につながると考え、「PV搭載住宅のエネルギー収支実邸調査」を実施してきました。2015年12月にZEHが設計基準として明確に定義されたため、実績評価である本調査と設計基準であるZEHでは、対象となる母数が異なるものとなりましたが、引き続き実邸実績の評価、分析を今後の商品、サービスの開発に活かしていきたいと考えています。
一方で、PVを取り巻く課題としては、PVの普及拡大によって、晴天の昼間に大量の余剰電力が発生することが電力の需給バランスに影響し、電力の出力制御問題につながる懸念があります。また、ユーザーの立場からは、FITの買い取り期間終了後の、売電に頼らない余剰電力の活用が挙げられます。その解決策のひとつとして、PVの「自家消費型モデル」への転換がありますが、経済産業省の再生可能エネルギー大量導入小委員会では、電気自動車や蓄電池と組み合わせることで自家消費すること、小売り電気事業者やアグリゲーターに対し相対・自由契約で余剰電力を売電することを基本方針として示しています。「蓄電池搭載邸の運転実績調査」はこれらの動向に的確に対応し、現在と将来、お客様にとって経済的にメリットのある暮らしをしていただくことを目的に実施したものです。
1.太陽光発電システム搭載邸のエネルギーゼロ達成度調査(2017)
調査目的:PV搭載住宅の消費電力量、発電電力量、電力量収支の把握
調査対象:セキスイハイムでHEMS設置のオール電化※3&PV搭載邸(2016年1~12月の間に入居)
に対して、2017年1~12月の消費電力量、発電電力量などを調査
調査地域:全国(有効母数2,951邸)
※3 HEMS設置のオール電化の定義:調理・給湯・暖房に電気以外(灯油、ガス等)を使わないユーザーで、
HEMSにより全消費電力量が計測されている邸
※4 今回の調査では家電消費電力を分離して測定できていませんので、省エネルギー基準における家電消費電力
相当(120㎡以上の住宅で2,173kWh/年)を差し引いてエネルギーゼロ達成度を計算しています。
2.蓄電池搭載邸の運転実績調査(2017)
調査目的:蓄電池搭載邸における放電量の実績把握
将来の自給自足を想定したグリーンモード運転の効果を試算・検証
調査対象:上記1.のエネルギーゼロ達成度調査と入居が同時期で蓄電池を搭載している邸に対して
2017年1~12月の放電電力量等を調査
調査地域:全国(有効母数829邸)
1.太陽光発電システム搭載邸のエネルギーゼロ達成度調査
(1)ZEH相当以上のエネルギーゼロ邸が64%、家電込みエネルギーゼロ邸が42%に
①「家電込みエネルギーゼロ邸」が42%、②「ZEH相当邸」22%。この結果、ZEH相当以上のエネルギーゼロ邸が64%(①、②の合計)に達していたことが判明しました。
(2)家電込みエネルギーゼロ邸の年間光熱費収支は約17.3万円の黒字
「家電込みエネルギーゼロ邸」(上記円グラフ①)は1246邸で、家族数の平均値は3.4人、中央値はPV搭載容量8.91kW、発電電力量10,658kWh/年、消費電力量7,157kWh/年となり、電力量収支は3,501kWh/年の赤字でした。
光熱費に換算すると「家電込みエネルギーゼロ邸」の中央値は、売電で電力量8,906kWh/年、収入29.1万円。また、買電で電力量5,405kWh/年、支出11.8万円となり、光熱費の収支は17.3万円の黒字となっていました。
※5 売電単価:エリアごとに異なる売電単価を調査棟数比で案分した値
※6 買電単価:燃料調整費、再エネ賦課金等も考慮し弊社で算出した想定値
2017年は前年に比べ消費電力量、発電量がともに増加しており、電力収支は前年と大きく変わらない状況となりました。光熱費収支も、中央値では前年と変わらない状況となっています。
(3)光熱費ゼロ以下邸が65%を占める
買電単価の上昇と売電単価の下落を受け、光熱費ゼロ以下邸は前年より65%(前年70%)となり、エネルギーゼロ達成邸(①と②の合計)の64%とほぼ同じ比率となっています。
2.蓄電池搭載邸の運転実績調査
蓄電池搭載邸の放電量の実績把握とFIT買い取り期間終了後の電力自給自足を想定した運転の効果検証のため、FIT適用中のユーザーが利用している経済モードと、FIT終了後に運用が予想されるグリーンモードの2つを対象に「運転実績調査」を実施しました。経済モードは実際の運転実績値を、グリーンモードは消費電力量、発電量の年間実績に基づく試算値にて分析を行いました。
* 当社の搭載している蓄電池はグリーンモード(自立優先モード:PVから充電し、夜から朝に放電)、経済モード(経済優先モード:深夜電力を充電し朝晩に放電)、非常運転モード(停電時モード)の3 つのモードで運転ができます。
(1)経済モードでは大容量化によって経済性、安心も向上
経済モード運転の場合は、蓄電池の容量によって、非常時の備え(安心)と毎日の充放電による経済効果が大きく変動することがわかりました。大容量になるほど、毎日の放電量による経済効果の絶対値が大きくなるとともに安心のメリットも大きくなっていました。
<試算方法>蓄電池が365日フル稼働(充放電ロスを除く)することを想定した場合の「B:毎日の放電による経済効果」との差を「A:安心に寄与している」として計算しました。
(2)グリーンモードは電力自給率を約 35%~約 60%にまで引き上げる効果がある(計算値)
蓄電池をグリーンモードで運転することで、蓄電池がない場合の自給率22%を約35%~約60%にまで引き上げる効果が確認されました。大容量の蓄電池ほど、自給率が高くなっています。
今回の調査でエネルギーゼロについては、達成度が安定基調に入ったことが確認されました。今後、売電単価の下落、買電単価の高騰を要因に光熱費収支が年々厳しくなることが想定されるため、当社ではエネルギー収支の改善に注力して参ります。
将来的には、FITの買い取り期間終了後に電力購入単価がPV発電電力の売電単価を上回ることが想定されます。PV電源の有効活用策として、蓄電池の搭載等をさらに推進し、ユーザー特性に合わせた最適活用提案ができるようレベルアップを図る考えです。