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プレスリリース

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「認知症の早期発見、重症化予防プロジェクト」の実施結果について

  • 運動習慣がある人ほど認知機能と生活機能が高い
  • 『話食動眠』に基づいた生活習慣が認知機能と生活機能の維持・向上へ寄与

2019年8月7日
積水化学工業株式会社

積水化学工業株式会社 住宅カンパニー(プレジデント:神𠮷 利幸)は、2018年10月より、高齢者向け事業における協業先であるアグリマス株式会社(本社:大田区西蒲田、代表取締役ファウンダー:小瀧歩)の認知症対策事業※1 に参画し、『話食動眠(わしょくどうみん)※2(「話食動眠」に関する詳細は後述)に基づき「認知症の早期発見、重症化予防プロジェクト」(以下「本プロジェクト」)を実施しました。

具体的には、当社グループ会社が運営するサービス付き高齢者住宅(以下「サ高住」)「ハイムガーデン熱田」、「ハイムガーデン仙台泉 二番館」、およびデイサービスセンター「オアシスセンター」のお客様のうち自立から要支援の方を対象に約 5 か月間、運動とコミュニケーションを中心としたプログラムを提供し、定期的に心身への効果測定を実施した他、その効果の睡眠の質への影響の分析も行いました。併せてプログラム終了後、参加したお客様に意欲や生活習慣の変化等のヒアリングを行い、効果を確認しました。

その結果、本プロジェクトにおいて認知機能の向上などが見られましたので、ご報告いたします。

「認知症の早期発見、重症化予防プロジェクト」の結果概要

本プロジェクトでは 1.認知機能、身体機能、生活機能の効果測定、2.効果測定後の意欲や生活習慣等に関するヒアリングを実施しました。

1.認知機能、身体機能、生活機能の効果測定について

  • ①本プロジェクトに参加することで認知機能と生活機能が維持・向上
    MMSE、脳活バランサーの2つの手法で認知機能を測定、Q-ESDの手法で生活機能の測定を行いました。(各手法の詳細は後述) MMSE では14名(対象19名)、脳活バランサーでは11名(対象21名)、Q-ESDでは9名(対象12名)において、それぞれプロジェクト前後で認知機能及び生活機能の維持・向上が確認できました。
  • ②運動習慣がある人ほど生活機能が高い
    歩数とQ-ESDの相関を見てみると、Q-ESDのスコアが低かった人ほど日常生活における歩数が多く(生活機能が高いほどQ-ESDのスコアは低い)、「健幸TV※3」による体操に参加する回数が多いことがわかりました。
  • ③よく歩く人ほど睡眠が深く、生活機能と認知機能も高い
    歩数が多い人は睡眠深度が深く良質な睡眠が確保できており、Q-ESDのスコアも低く生活機能と認知機能が高い事例も確認できました。

2.意欲や生活習慣等に関するヒアリングについて

  • ①『話食動眠』に基づいた生活習慣が認知機能と生活機能の維持・向上に寄与
    サ高住における日常の運動習慣や入居者同士のコミュニケーションが、運動機能はもちろん、認知機能と生活機能の維持・向上に役立っていると考えられます。
  • ②高齢期における集住の効果
    サ高住のような適度な距離感での共同生活は、食生活の改善やセルフケアの意欲向上など、生活習慣や意欲にも様々な効果をもたらすことが明らかになりました。
  • ③「場所づくり」による「意欲」の重要性を確認
    高齢者が気軽に安心して通うことができ、運動を行い、他者との関わりが持てる「場所づくり」による本人の「意欲」の醸成が認知症予防には効果的であることが分かりました。

「認知症の早期発見、重症化予防プロジェクト」の概要

1.プログラム内容

運動:アグリマス社が配信する「健幸 TV」による日常の運動習慣、歩数計による歩数計測

会話:定期的なイベント(『リアル健幸 TV』、菜園での収穫祭等)によるコミュニケーション促進

睡眠:計測器を導入し、睡眠の質を計測

ハイムガーデン仙台泉での「健幸 TV」講師による「椅子空手」実演の様子

2.実施期間

効果測 定:2018年10月~2019年2月

ヒアリング:2019年3月~2019年7月

3.対象

要介護度:自立~要支援レベル

年 齢:72~101歳

人 数:26名

<実施先と対象者の内訳>

サ高住

・ハイムガーデン熱田(名古屋市熱田区、運営:セキスイオアシス㈱) 入居者11名

・ハイムガーデン仙台泉 二番館(仙台市泉区、運営:東北セキスイハイム不動産㈱) 入居者5名

デイサービスセンター

・オアシスセンター(名古屋市瑞穂区、運営:セキスイオアシス㈱) デイサービス利用客10名

「認知症の早期発見、重症化予防プロジェクト」の結果

本プロジェクトでは認知機能、身体機能、生活機能の効果測定と、効果測定後の意欲や生活習慣等に関するヒアリングを実施しました。

1.認知機能、運動機能、生活機能の効果測定の概要

MMSE、脳活バランサーを用いて認知機能を測定、Q-ESDを用いて生活機能の測定を行いました。身体機能については、握力計を用いた握力測定、TUGテスト(Timed Up & Go Test)を行いました。

MMSE(認知機能検査)

認知症のスクリーニングとして用いられている認知機能検査です。30点満点で評価し、点数が低いほど、認知機能が低下していることを示します。

脳活バランサー

トータルブレインケア社製の認知機能を数値化するクラウドサービスです。記憶力、計画力、空間認識力、注意力、見当識の5つの認知機能を測定します。各問題に対する正答率および課題処理速度をもとに、得点を算出します。本プロジェクトでは、5つの能力の合計得点を評価指標に設定しました。得点が高いほど、認知機能が高いことを示します。

Q-ESD(The Questionnaires for Earlier Stage of Dementia)

認知症の超早期段階における発見を目的とした、全16問から構成される生活機能を評価するチェックシートです。生活機能が高いほど Q-ESDスコアは低くなります。

◆運動習慣がある人ほど生活機能が高い

歩数と Q-ESDの相関を見てみると、Q-ESDのスコアが低かった人ほど日常生活における歩数が多く、「健幸 TV」による体操に参加する回数が多いことがわかりました。

運動習慣(歩数)と生活機能(Q-ESD)の相関

2.生活習慣等に関するヒアリングの結果について

  • ①. 『話食動眠』に基づいた生活習慣が認知機能と生活機能の維持・向上に寄与
    『話食動眠』をコンセプトに運営するサ高住「ハイムガーデン熱田」、「ハイムガーデン仙台泉二番館」の入居者は、朝の運動が日課となっており、歩数計を携帯することで歩くことへの意欲もより向上しています。その結果、認知機能と生活機能の維持・向上が図れているものと推察されます。また、敷地内に菜園もあり野菜を育て収穫することで達成感や生きがいも得られ、入居者同士のコミュニケーション促進にも役立っていることも認知機能、生活機能の維持・向上につながっていると考えられます。
  • ②.高齢期における集住の効果
    高齢者が集まって住まうサ高住のような住まいは、独居ではなく適度な距離感での共同生活という環境が様々な効果をもたらすことがわかりました。 「ハイムガーデン仙台泉二番館」では「食」に関するアンケート調査も実施しましたが、共用部のダイニングで食べることで、「独りで食べるより規則正しい食生活を送れる」との声もありました。また、食事の際に他の入居者の様子も知ることができるので自身の生活意欲が上がるといった効果もみられました。適度な距離感での他者との生活が互いに「快刺激」を与え合い、セルフケアにつながっていると考えられます。
  • 測定結果のフィードバックとヒアリングの様子
  • ③.「場所づくり」による「意欲」の重要性を確認
    オアシスセンター(在宅介護サービス事業所)の運動型デイサービスの利用者も今回のプロジェクトに参加しました。平均年齢は83才にも関わらず、多くの方に認知機能と生活機能の維持・向上が見られました。対象者は、週1~2回オアシスセンターに来て、運動をメインに1時間ほど過ごします。 週に数回、高齢者が気軽に安心して通うことができ、運動を行い、他者との関わりが持てる「場所づくり」による本人の「意欲」の醸成が認知症予防には効果的であることが分かりました。

今後の取り組みについて

今後も、『話食動眠』をコンセプトに、運営する高齢者向け住宅のサービスをさらに探求するとともに、デイサービスの場を地域の高齢者が集まる「場所」としても捉え、より多くの高齢者が活用し意欲を高めることができる仕掛けを通じて、認知症予防に寄与していきたいと考えています。

『話食動眠』の考え方

当社は、1994年に「加齢配慮住宅研究所」を設立。いち早く高齢化社会における住宅問題の研究や、それに基づく解決策を盛り込んだ商品企画を手掛けてきました。近年では、東北大学加齢医学研究所の瀧 靖之教授が提唱する「生涯健康脳」に着目。脳の活性化や機能維持のための重要な4つの項目、睡眠、運動、コミュニケーション、食事(調理)から健康な生活をより長期化させるという考え方を「生涯健康脳住宅」として具体化するための研究を進めることとし、2016年8月、グループの調査研究機関「住環境研究所」(所長:小池裕人、千代田区神田須田町)の内部組織として「生涯健康脳住宅研究所」を立ち上げました。同研究所では、瀧教授が提唱する4項目、コミュニケーション(会話)、食事(調理)、運動、睡眠、それぞれの単語から1文字ずつを抜粋して、新たに「話食動眠」というコンセプトスローガンを作成し、健康な脳のためには、4つの配慮が住まいにおいていかに重要であるかの研究・情報発信を進めています。将来的にはその研究成果を新築住宅、リフォーム、サ高住などに取り入れ住まいから認知症を予防する展開へつなげる考えで、今回の取り組みはその一環となります。

参考

〈アグリマス株式会社概要〉

会  社  名 アグリマス株式会社
H P アドレス https://www.tokyo-marche-tv.jp/
設    立 2005年11月9日
事 業 概 要 産直八百屋事業
エイジング予防ヨガ事業
介護予防デイサービス事業
農業体験、農業実習、エコツアー、アグリツーリズムの開催
農業マーケティング、農業ファイナンスに関するコンサルティング
その他、中小企業に対する経営コンサルティング
カフェ事業
カルチャーセンター事業
インターネットによる介護予防プログラム配信事業『健幸 TV』
資  本  金 5,082万円
本社所在地 東京都大田区西蒲田 2-5-1 クレードル池上
代表取締役 小瀧歩

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